KR IP Info
大韓民国で特許・実用新案・商標・デザインを出願し、権利化するにあたっては、手続面・実体面の実務の一部が他の法域と異なることを理解しておくことが重要です。
特に海外出願人は、韓国語翻訳文、国内代理人の選任、優先権証明書類の提出期限、審査請求、補正の制限、商標出願戦略、そして韓国特有の審査手続に十分注意する必要があります。
韓国知的財産制度に関するFAQ
韓国の特許事務所に案件を依頼する際、何を送ればよいですか?
海外代理人の皆様には、次のような指示文を添えていただくことをお勧めします:
「外国出願をそのまま韓国に出願するのではなく、韓国の実務に照らして出願内容を検討し、必要な変更点があればご助言ください。」
特に、次の事項をお知らせください:
クライアントが韓国で最終的に目指す保護の目標は何ですか?
クライアントにとって商業的に重要な技術、製品またはブランドをお知らせください。
他の法域における審査経過はどうなっていますか?
米国、欧州、日本、中国その他の法域で受けた関連する拒絶理由通知(Office Action)、サーチレポート、補正書、審査結果をご提供ください。
商業的に重要な請求項はどれですか?
すべての請求項が同じ商業的価値を持つとは限りません。クライアントにとって戦略的に重要な請求項をお知らせください。
翻訳上注意すべき用語はありますか?
技術用語、定義された表現、請求項の用語、または対応する外国特許で一貫して使用されている用語をお知らせください。
ひと目でわかる韓国 — 実務上の要点
| 分野 | 海外代理人向けの要点 |
|---|---|
| 特許 | 韓国語翻訳文が戦略的に重要 |
| 特許 | 審査請求は原則として3年以内 |
| 特許 | 補正には新規事項の追加の制限が適用 |
| 特許 | 韓国の実務に即した補正戦略を推奨 |
| PCT | 韓国国内段階への移行は原則として31か月以内 |
| PCT | 韓国語翻訳文の提出が必要 |
| 商標 | 先願主義 |
| 商標 | 韓国語・ハングル商標のクリアランス調査が重要 |
| 商標 | 3年連続の不使用により取消の対象となり得る |
| 商標 | 異議申立は原則として出願公告後30日以内 |
| デザイン | 部分デザイン・関連デザイン制度の活用を検討 |
| デザイン | 図面と物品の指定が重要 |
| 代理 | 韓国内に住所・営業所を有しない海外出願人は、原則として韓国の代理人の選任が必要 |
| 登録後の手続 | 異議申立・無効審判その他の手続を区別する必要あり |
| 拒絶 | 再審査と不服審判の戦略を併せて検討 |
海外代理人のための韓国知的財産の主要期限と期限管理上の注意点
ひと目でわかる主要な期限計算式
- PCT国内段階移行
- 優先日 + 31か月
- 特許・実用新案の優先権証明書類
- 優先権基礎出願日 + 1年4か月
- 商標・デザインの優先権証明書類
- 韓国出願日 + 3か月
- 特許の審査請求
- 韓国出願日 + 3年
- 商標の異議申立
- 出願公告日 + 30日(2025年7月22日施行)
- 特許取消申請
- 登録公告日 + 6か月
- 商標の拒絶査定不服審判
- 拒絶査定謄本の送達日 + 3か月(法定期間)
PCT出願は、いつまでに韓国の国内段階に移行しなければなりませんか?
最もよくある期限管理上の誤りの一つは、他の法域で用いられている30か月ルールを韓国にそのまま適用してしまうことです。韓国では、PCT国内段階移行について原則として31か月の期間が適用されます。したがって、韓国の期限を個別に確認しないまま、海外の期限管理システムをそのまま使用すべきではありません。
また、翻訳、書類の確認、出願の方式手続に十分な時間を確保できるよう、31か月の期限より十分に余裕をもって韓国代理人にご指示いただくことをお勧めします。
期限管理ルール:優先日 → 31か月 → 韓国国内段階移行期限
韓国の特許・実用新案出願について、優先権証明書類はいつまでに提出しなければなりませんか?
特許・実用新案の優先権証明書類 — 1年4か月
韓国の特許出願および実用新案登録出願では、優先権証明書類は原則として、優先権の基礎となる出願の出願日から1年4か月以内に提出する必要があります。
重要なのは、この期間が単に韓国出願日から16か月として計算されるわけではないという点です。起算点は外国における優先権の基礎出願の出願日です。したがって、優先権証明書類の提出期限を単純に韓国出願日から計算すべきではありません。
特許・実用新案:優先権基礎出願日 + 1年4か月
韓国の商標・デザインについて、優先権証明書類はいつまでに提出しなければなりませんか?
韓国の商標登録出願およびデザイン登録出願では、優先権証明書類は原則として韓国出願日から3か月以内に提出する必要があります。
特に、商標の優先権証明書類の提出期間は延長できないため、厳守すべき重要な期限として管理する必要があります。
商標・デザイン:韓国出願日 + 3か月
韓国の特許出願は、出願後に自動的に審査されますか?
審査請求 — 3年(2017年3月1日施行)
いいえ。韓国の特許出願は、出願しただけで自動的に実体審査が行われるわけではなく、別途審査請求が必要です。審査請求は、原則として韓国出願日から3年以内に行わなければなりません。
3年という期間は比較的長いため、海外出願人が他の法域での審査結果を待つ間、審査請求を先送りすることがあります。しかし、韓国の3年の期間は、米国、欧州、日本その他の法域における審査の進捗状況とは関係なく、独立して進行します。
所定の期間内に審査請求を行わない場合、その出願は取り下げたものとみなされることがあります。したがって、審査請求期限は厳守すべき法定期限として管理する必要があります。
登録後、韓国特許を争うことができる特定の期間はありますか?
特許取消申請 — 登録公告日から6か月
はい。韓国には特許取消申請制度があります。原則として、何人も、法定の要件に従い、理由を記載し証拠を添付して、登録公告日から6か月以内に特許取消申請をすることができます。
特許権の設定登録日と特許の登録公告日は区別する必要があります。したがって、海外代理人はこの期限を単に「登録日 + 6か月」として管理すべきではありません。期限の計算にあたっては、韓国の公式な登録情報および公告情報を確認する必要があります。
特許取消申請と特許無効審判の区別:韓国の特許取消申請を、欧州特許庁(EPO)の異議申立や米国の付与後手続(post-grant proceeding)と同一のものとして扱うべきではありません。
韓国の商標登録出願に対する異議申立期間はどのくらいですか?
商標の異議申立 — 出願公告後30日(2025年7月22日施行)
韓国の商標登録出願が出願公告されると、原則として何人も出願公告日から30日以内に異議申立をすることができます。異議申立期間は延長できず、当初の出願日ではなく出願公告日から起算されます。
したがって、海外代理人が韓国の商標ポートフォリオを管理する際には、出願日だけでなく、出願公告の有無および出願公告日も確認する必要があります。
証拠がまだすべて揃っていない場合はどうすればよいですか?
証拠が完全に揃っていないことを、30日の法定期限を逃す理由にしてはなりません。韓国の手続では、最初の異議申立の後に理由や証拠を補充できる場合があります。したがって、商業的に重要な異議申立であれば、海外代理人は証拠がすべて揃うのを待たずに、直ちに韓国代理人に相談すべきです。
韓国の商標の拒絶査定に不服を申し立てる期限はいつですか?
商標の拒絶査定不服審判 — 3か月
原則として、韓国の商標の拒絶査定に対する不服審判は、拒絶査定の謄本の送達(受領)日から3か月以内に請求しなければなりません。
査定日と送達日を混同しないでください。
期限のまとめ
| 手続 | 期間 | 起算点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| PCT国内段階移行 | 31か月 | 優先日 | 30か月ルールは適用しない |
| 特許の優先権証明書類 | 1年4か月 | 優先権基礎出願日 | 単純に韓国出願日起算ではない |
| 実用新案の優先権証明書類 | 1年4か月 | 優先権基礎出願日 | 別途期限管理 |
| 商標の優先権証明書類 | 3か月 | 韓国出願日 | 延長不可 |
| デザインの優先権証明書類 | 3か月 | 韓国出願日 | 特許とは異なる |
| 審査請求 | 3年 | 韓国出願日 | 取下げ擬制のおそれ |
| 商標の異議申立 | 30日 | 出願公告日 | 延長不可 |
| 特許取消申請 | 6か月 | 登録公告日 | 無効審判と区別 |
| 商標の拒絶査定不服審判 | 3か月 | 拒絶査定謄本の送達日 | 送達日を確認 |
韓国の知的財産手続は、米国、欧州、日本、中国その他の法域の手続と多くの共通点があります。しかし、起算点、法定期間の長さ、期間延長の可否、期限を徒過した場合の法的効果は大きく異なることがあります。
したがって、海外代理人は他の法域で用いている期限管理ルールをそのまま適用すべきではありません。韓国の各期限は、該当する韓国出願日、優先日、公告日、登録日または送達日を基準に、個別に計算する必要があります。
欧州・米国の代理人が特に留意すべき事項
米国や欧州の審査対応戦略を、韓国でもそのまま使えますか?
国際的な原則は多くの点で共通していますが、韓国の翻訳、補正、審査請求、拒絶後の手続には重要な違いがあります。
韓国の特許出願には、別途審査請求が必要です。
韓国の特許出願は、出願したというだけでは実体審査は行われません。審査請求が必要であり、原則として出願日から3年以内に行わなければなりません。
したがって、韓国の審査請求期限は、米国や欧州の審査対応で用いる期限とは別に管理する必要があります。
米国式の補正戦略が韓国でも通用すると考えるべきではありません。
韓国の実務では、補正は原則として、当初の明細書または図面に記載された事項の範囲内で行う必要があります。一定の拒絶理由通知に対する補正にはさらに制限が加わり、新規事項を追加すると拒絶される可能性があります。
したがって、韓国で補正を依頼する前に、提案する補正が当初の韓国出願によって十分に裏付けられているかを韓国代理人が確認する必要があります。
韓国語翻訳文は審査対応戦略に影響し得ます。
外国語出願では、韓国語翻訳文が特に重要です。韓国の審査基準は、一定の場合において、補正が新規事項を追加するものかどうかを判断する際の重要な根拠として韓国語翻訳文を認めています。
そのため、複雑な技術分野では、出願前に韓国代理人と共に重要な請求項の用語や技術表現を確認されることをお勧めします。
韓国の特許取消申請を、米国や欧州の手続と単純に同一視すべきではありません。
韓国には特許取消申請制度があり、何人も特許の登録公告日から6か月以内に特許取消申請をすることができます。
この手続は特許無効審判とは別の手続であるため、クライアントに登録後の戦略を助言する際には別途検討する必要があります。
拒絶査定後は、不服審判だけでなく再審査も検討してください。
韓国の実務では、拒絶査定後、不服審判の手続に加えて、適切な場合には再審査の手続を利用することができます。
したがって、韓国で拒絶査定を受けた後は、単に「審判を請求すべきか」を問うのではなく、補正のうえ再審査を請求するのか、拒絶査定不服審判を請求するのか、どちらがより適切な戦略かを出願人と韓国代理人が共に検討する必要があります。
アジアの代理人が特に留意すべき事項
日本、中国、台湾、香港、シンガポールで豊富な経験がある場合、韓国でも基本的に同じ戦略を使えますか?
全体的な構造にはなじみがあるかもしれませんが、韓国の審査実務を他のアジアの法域の実務と同一のものとして扱うべきではありません。特に次の点が重要です。
韓国語翻訳は単なる言語上の作業ではありません。
外国語による特許出願には韓国語翻訳文が必要であり、PCT出願が韓国の国内段階に移行する際にも韓国語翻訳文が必要です。PCT出願の韓国国内段階移行期限は、原則として優先日から31か月です。
韓国語翻訳文の文言は、審査の過程で、特に補正や新規事項の問題が生じた際に重要となることがあります。そのため、韓国語翻訳文を単なる事務的な翻訳ではなく、重要な審査書類として扱われることをお勧めします。
他のアジアの法域で用いた請求項戦略を、そのまま流用しないでください。
日本、中国その他の法域で登録された請求項が、韓国でもまったく同じ形で登録されるとは限りません。韓国での審査は、韓国の明細書、請求の範囲、図面、先行技術および適用される審査基準を踏まえて、独立して検討する必要があります。
優先権証明書類の提出期限は別途管理する必要があります。
特許・実用新案では、優先権証明書類は原則として優先権の基礎出願日から1年4か月以内に提出する必要があります。商標・デザインでは、該当する期限は原則として韓国出願日から3か月です。
したがって、これらの期限を他の法域で用いている期限管理システムからそのまま流用すべきではありません。
韓国は商標について先願主義を採用しています。
韓国における商標の保護は、基本的に先願主義に基づいています。これは、外国企業が販売代理店、代理人、ライセンシーまたは現地のビジネスパートナーを通じて韓国市場への進出を計画している場合に特に重要です。
3年間継続して使用されていない商標は、所定の要件の下で不使用取消の対象となる可能性があります。そのため、韓国市場への進出前に韓国での商標出願を検討されることをお勧めします。
韓国のデザイン実務にはいくつかの特徴があります。
韓国では、デザインについて実体審査と一部審査の二つの制度が運用されています。また、韓国の実務では、適切な場合に部分デザイン、関連デザイン、複数デザイン登録出願といった制度を利用することができます。
したがって、日本、中国その他の法域で登録されたデザインであっても、韓国における図面、物品の指定および保護戦略を検討しないまま、韓国にそのまま出願すべきではありません。
すべての海外代理人のための韓国特許審査チェックリスト
韓国代理人にはどのような情報を提供すべきですか?
韓国特許案件をご指示いただく際には、毎回次の情報を併せてご提供いただくことをお勧めします。
優先権情報
- 最先の優先日
- 優先権主張国
- すべての優先権基礎出願の番号
- 優先権主張の正確な範囲
出願人情報
- 出願人の正式な法的名称
- 登録住所
- 譲渡または権利帰属に関する情報
- 発明者情報
明細書
- 最終版の外国語明細書
- 図面
- 配列表(該当する場合)
- 韓国で保護を求める請求項
請求項戦略
- 他の法域で既に許可された請求項
- 現在審査中の請求項
- 商業的に重要な請求項
- 重要な後退可能な範囲(フォールバックポジション)
翻訳上の留意事項
- 希望する技術用語
- 定義された用語
- 請求項の用語
- 対応する外国特許で一貫して使用されている用語
- 直訳すべきでない表現
海外での審査経過
- 拒絶理由通知(Office Action)
- サーチレポート
- 見解書/IPRP(特許性に関する国際予備報告)
- 米国、欧州、日本、中国その他の主要法域での審査結果
- 対応出願で登録された請求項
韓国はIP5(世界の主要5特許庁)の一員であり、その審査基準は主要な知的財産庁の審査基準や実務を参考に整備されてきました。とはいえ、他の法域で得られた審査結果が、韓国において自動的に決定的な効力を持つわけではありません。
海外の商標代理人が知っておくべきことは何ですか?
米国や欧州で既に登録されている商標であれば、韓国でも自動的に登録を受けられますか?
いいえ。韓国向けに別途、商標のクリアランス調査と出願戦略を立てることをお勧めします。
特に、海外出願人は次の点を検討する必要があります:
- ブランドの韓国語またはハングル表記
- 韓国語による音訳表記
- ブランドの韓国語訳として考えられるもの
- 韓国における既存の出願および登録
- 販売代理店や現地代理人による出願
- 適切な指定商品・指定役務
- 韓国での実際の使用予定
韓国の商標登録出願が出願公告されると、原則として何人も出願公告日から2か月以内に異議申立をすることができ、異議申立期間は延長できません。
韓国における商標権の行使
韓国で商標を侵害された場合、どのような対応ができますか?
韓国で商標が侵害されている場合、いくつかの法的救済手段を利用できます。最も適切な措置、あるいは措置の組み合わせは、侵害の範囲、侵害者の身元や事業規模、収集した証拠の強さなど、事案の具体的な事実関係によって異なります。
韓国法の下で利用できる主な権利行使手段は次のとおりです:
警告状の送付
侵害者に対し、違法な行為を直ちに中止するよう求める正式な書面による通知です。多くの場合、最初のステップとして用いられ、早期の和解につながることがあります。また、後に訴訟が必要となった場合には、侵害者の故意を立証する有用な証拠にもなります。
保全処分(仮処分)の申立て
本案の審理が終わる前に、侵害行為を緊急に差し止め、または侵害品を差し押さえるため、裁判所に仮処分を申し立てることができます。回復不能な損害が差し迫っている場合や継続している場合に特に効果的です。
民事訴訟の提起
裁判所に本案の民事訴訟を提起し、次の救済を求めることができます:
- 侵害行為の恒久的な差止め、および
- 金銭的な損害賠償(例:逸失利益、合理的なライセンス料、侵害者が得た利益)。
近年、韓国の裁判所は、商標権者に対する公正な損害賠償額の算定と認容について、より積極的な姿勢を示しています。
刑事上の救済
韓国商標法上、商標権侵害は刑事罰の対象となる犯罪であり、7年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金が科され得ます。捜査機関に刑事告訴するか、韓国特許庁(KIPO)に通報することにより、侵害者に対する刑事処罰を求めることができます。
税関での差止め申請(輸入の阻止)
侵害品が海外から輸入されている場合は、韓国の関税庁に対し、通関の保留またはその製品の輸入差止めを申請することができます。
最終的な推奨事項 — 各救済手段は手続要件、費用、戦略上の意味合いがそれぞれ異なるため、知的財産を専門とするKIM & CHOにご相談いただくことを強くお勧めします。当所のチームは、迅速な解決、金銭的回収の最大化、刑事処罰の追求のいずれを優先される場合でも、状況の評価、必要な証拠の収集、そして最適な権利行使戦略の策定を全面的にサポートいたします。

